ブラームス作曲
アルト・ラプソディ作品53
アルト:クリスタ・ルードヴィッヒ
指揮:オットー・クレンペラー
演奏:フィルハーモニア管弦楽団
合唱:フィルハーモニア合唱団
1962年3月 スタジオ録音
<推薦評>
アルト・ラプソディは,アルト独唱と男声合唱及び管弦楽のための曲であり,このような編成の曲は他にあまりない。
ゲーテの詩である「冬のハルツ紀行」に曲が付けられたものであり,本来は『ゲーテの「冬のハルツの旅」からの断章』という題名が付けられているが,アルト独唱に焦点が置かれていることから,このような通称で呼ばれている。
ブラームスの管弦楽を伴う声楽曲と言えば「ドイツ・レクイエム」が有名であるが,このアルト・ラプソディは前者の1年後に作曲されたこともあり,声楽や合唱の書法に類似点が多く見られる。
さて,オットー・クレンペラーのこの演奏は古くからの名盤誉れ高い演奏である。
1962年の録音でありながら,音質には問題ない。
何せ,アルト独唱のクリスタ・ルートヴィッヒの声に艶があり,深い独唱を聴かせてくれている。
また,それを支えるクレンペラーの伴奏についても,非常に色彩感溢れる演奏となっており,さらに後半の男性合唱(フィルハーモニア合唱団)の声質も申し分なく美しい。
正に,独唱・男声合唱・オーケストラが一体となった響きを堪能できる演奏である。
せっかくなので,この曲について,クレンペラー盤以外のお薦めのCD(数は少ないが)を録音年代順に列記しておく(あくまでも私見であるが)。
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1957年
クラウディオ・アバド指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1988年