2010年6月6日放送 ☆☆

 

シューマン作曲

 4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュックヘ長調作品86

ホルン:ノルベルト・ハウプトマン

ホルン:マンフレート・クリール

ホルン:クリストフ・コーレル

ホルン:ゲルト・ザイフェルト

指揮:クラウス・テンシュテット

  演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

  1978年10月 スタジオ録音

 

<推薦評>

この曲は,シューマンが1849年に作曲した楽曲で,通常は協奏曲に分類される。

「コンツェルトシュテュック」(: Konzertstück)については「コンチェルトシュトゥック」の表記のほかに,「小協奏曲」「協奏的小品」などという日本語訳が用いられることもある(ウェーバー作曲の「ピアノ小協奏曲」などが有名で,コンチェルティーノと同義語)

作曲の背景としては,バッハ作曲(ヴィヴァルディ原曲)の「4台のハープシコードと管弦楽のための協奏曲」を指摘する研究者もいるようである。

全体は3楽章形式をとっており,それぞれ第1楽章は「生き生きと」,一旦終止してから第2楽章に続き「ロマンツェ,かなりゆっくりと,しかしひきずらずに」。

第2楽章最後は,緩徐楽章の旋律が続く中,トランペットが割り入るように第3楽章の主題を予告し,次第に曲想を変えながらそのまま第3楽章「とても生き生きと」へ続く。

 そもそもこの曲は,特殊な編成なこともあってか,録音はそう多くはない。

しかし,その編成とも併せて,素晴らしい音楽へ仕上がっており,さらには曲が作られた時期を考えると,シューマンの音楽も充実期に入っており,シューマン好きの私としては好きな曲1つである。

この曲,ソリストが4人いるという珍しい曲でもあるが,4人のホルン・ソロを揃えるのは非常に難しいと考えるが,このテンシュテットの演奏はそうそうたるソリスト(ハウプトマン,クリール,コーレル,ザイフェルト)が揃っているため,これらソリストの名前を聞いただけで,聴く前から安心でき,内容も濃い演奏だが,欠点もある。

それは,4本のホルンの音について,誰が演奏しているのかが判別できないところで,録音の影響もあるかもしれない。

多少なりとも,録音を意識したもの(ライヴ録音ではないので)であれば,演奏・録音効果にも気を使っていれば,さらに高評価につながったであろう。

 ソリストの優秀さもそうであるが,バックを支えているベルリン・フィルの演奏も優秀であることも見逃せない演奏である。

せっかくなので,4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュックの推薦盤を紹介したいが,あまりメジャーな曲ではないため,録音数が少ないので,テンシュテットが指揮をしている,お薦めのCDを列記しておく(あくまでも私見であるが)

 

テンシュテットのお薦めCD

ベートーヴェン

 交響曲第9番「合唱付き」 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1985年)

ブルックナー

  交響曲第4番「ロマンティック」 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1984年)

 マーラー

  交響曲第1番「巨人」 シカゴ交響楽団(1990年)

  交響曲第2番「復活」 北ドイツ放送交響楽団(1980年)

  交響曲第5番 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1988年)

  交響曲第6番「悲劇的」 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1991年)

  交響曲第7番「夜の歌」 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1993年)

  交響曲第8番「千人の交響曲」 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1991年)

  交響曲第9番 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1979年)

  交響曲第10番 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1978年)

コダーイ

組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1983年)