2007年11月4日放送 ☆☆☆

 

マーラー作曲

 交響曲第2番ハ短調「復活」

  ソプラノ:スーザン・シルコット

  アルト:ヴィオレッタ・ウルマーナ

  指揮:大野和士

  演奏:ベルギー王立歌劇場管弦楽団

  合唱:ベルギー王立歌劇場合唱団

  2002年 ライヴ録音

 

<推薦評>

 マーラーの人気曲の交響曲第2番「復活」は,マーラーお得意の声楽パート入りの交響曲である。

 全5楽章形式を採用し,交響曲第3番・第4番と合わせて「角笛三部作」と呼ばれることがあるが,これはマーラーの歌曲集「子供の不思議な角笛」の歌詞をそれぞれの交響曲の声楽パートで使用していることが所以である。

 まず,指揮者の大野和士であるが,1987年にアルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールで優勝し,翌1988年からクロアチアのザグレブ・フィルの音楽監督に就任,1996年からはドイツのカールスルーエ・バーデン州立劇場の音楽総監督を,2002年からは今回の演奏でもあるベルギー王立歌劇場(モネ劇場)の音楽監督を務め,現在はフランス国立リヨン歌劇場の首席指揮者として活躍している,今後最も期待できる日本人指揮者である。

さて,その大野和士の「復活」の演奏であるが,一言で言うとスケール感に関しては決して大きいとはいえないが,非常にまとまった表情豊かな好演と言え,さらには録音の良さ(ホールの良さ?)も際立っている。

第1楽章は,弦楽器と若干控えめな金管セクションのバランスが良く,打楽器群は存在感を示しており,低音域が非常に豊かで,さらには自在にテンポを揺らしてくるあたりは,大野和士らしさが出ている。

第2楽章は,第1楽章同様にテンポの動きも自然で,客観的で非常に品の良い演奏となっている。

第3楽章は,これまでとは一転して,ティンパニが控えめとなり,さらに客観的で品の良さが光り,続く第4楽章の独唱は非常に美しく艶がある。

第5楽章に入ると,打楽器群が再び盛り返すが,相変わらず金管セクションは若干控えめで,速めのテンポで進行していく。

展開部でテンポを上げるという細かい芸風を見せ,速めのテンポで進み,最後のテュッティは各パート大爆発で終演。

全体的な印象は,作品を客観的に見ている演奏に聴こえるが,それでいて表情が豊かなところは,いかにも大野和士らしさを感じさせ,一般的なマーラーの好演に見られるスケール感は大きくはないが,その分美しさを感じさせる好演と言えるのではないか。

従って,テンシュテットやバーンスタイン,インバルなどのマーラーを好む方には物足りなさを感じてしまうかもしれない。

 

せっかくなので,マーラーの交響曲第2番「復活」の推薦盤を録音年代順に,さらに大野和士が指揮をしている,お薦めのCDを列記しておく(あくまでも私見であるが)

 

マーラー作曲 交響曲第2番「復活」の推薦CD

 オスカー・フリート指揮 ベルリン国立歌劇場管弦楽団(1950年)

 レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック(1963年)

 クラウス・テンシュテット指揮 北ドイツ放送交響楽団(1980年)

 エリアフ・インバル指揮 フランクフルト放送交響楽団(1985年)

 レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック(1987年)

 小澤征爾指揮 サイトウ・キネン・オーケストラ(2000年)

 

大野和士のお薦めCD

プロコフィエフ

 ピアノ協奏曲全集 ベルギー王立歌劇場管弦楽団 ピアノ:アブデルラーマン・エル・バシャ(2004年)