(特選盤)
この曲の特選盤は,非常にいきいきとした演奏を披露している,パレー=デトロイト響の60年の録音で決まりです。
他の曲でも紹介しておりますが,当時のMERCURYの録音は驚異的で,モノラル終期からステレオ初期の録音ながら,非常に鮮明で鮮烈なサウンドは素晴らしいです(パレーやドラティの録音が多い)。
このCDについても録音にメリハリが付いており,一層,パレーの溌剌とした瑞々しい演奏が引き立てられております。
正に決定盤的な演奏と言えましょう。
(推薦盤①)
次の推薦する演奏は,フルネ=東京都響の80年の録音です。
フルネはこの曲を,モノラル時代の52年にコンセール・ラムルー管と録音しており(私は未聴),フランスものを得意としているフルネの面目躍如的な演奏を,東京都響と聴かせてくれております。
このCDは,東京都響を振る様々な指揮者の管弦楽曲集となっており,その中でもこの曲の演奏が非常に素晴らしく,テンポも自在で,特に冒頭ピツィカートの部分においてもテンポを揺らすなど,非常に心地の良い演奏であります。
(推薦盤②)
次は,ガーディナー=ウィーン・フィルの95年の録音を紹介しましょう。
この演奏は,私個人的な解釈では,ギリギリ推薦盤というところでしょうか。
ガーディナーの指揮は,相変わらずキッチリしており,非常に真面目なシャブリエの管弦楽曲集と言えます。
ガーディナーと言えば,バロックから古典派,ロマン派の音楽を,独自の解釈で演奏しており,その指揮者が何故かシャブリエの管弦楽曲集を録音するという,非常に珍しい組み合わせに思えますが,オペラ指揮者でもあるガーディナーは,シャブリエのオペラも手掛けていることを考えると理解できます。
ただ,若干,ウィーン・フィルの響きを生かし切れていないような気がするのは,私だけでしょうか。
(推薦盤③)
最後に,ある意味ではガーディナー盤と正反対にある演奏で,佐渡裕=コンセール・ラムルー管の99年の録音をお薦めしましょう。
この演奏は,多少オーケストラが曖昧な部分も見られますが,「そんなの関係なし」と割り切り,ただひたすら楽しく明るく演奏した結果,非常にスケールの大きい演奏へと変貌したような演奏です。
イベールの管弦楽曲集もそうでしたが,佐渡の非常に良い面が全面に出たパッション溢れる演奏になっております。
録音も非常に優秀です。
パレーの瑞々しい演奏を好むか,佐渡のスケール感を選ぶかは,皆様にお任せします。
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