【解説】
この曲は,ドイツ生まれでフランス(後に帰化)で活躍したオペレッタ作曲家でありますオッフェンバックの代表作の序曲で,正式名称は喜歌劇(またはオペラ・ブッフ)「地獄のオルフェ」と言います。
「天国と地獄」という名称で呼んでいるのは日本だけで,これは1914年の日本の帝劇での初演時の邦題に基づくものです。
この喜歌劇は,初演当時は大変な人気を博したようで,初演から228回連続公演を記録した大ヒット作であります。
原曲はフランス語でありますが,他のオッフェンバックの作品同様に,ドイツ語上演が非常に多く,レコード時代にはドイツ語の全曲盤しかなかったとのことです。
その内容は,グルックが作曲した歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」のパロディとして作曲されたものです。
実は,厳密にはこの序曲はオッフェンバックが作曲したものではなく,オリジナル版には序曲がありませんでしたが,ウィーン初演(ドイツ語版)のためにカール・ビンダーが劇中の曲を編曲してつなげたものであります(劇中曲のつなぎ合わせという点では,オッフェンバックが作曲したようなものではありますが・・・)。
この序曲は,全体が3つの部分で構成されており,特に第3部が有名で,「カンカン(ギャロップ)」と呼ばれており,本編では地獄でのダンスシーン及びフィナーレのソプラノ独唱と合唱で歌われます。
この旋律はサン=サーンスの組曲「動物の謝肉祭」の第1曲の「亀」でパロディとしており,日本ではカステラの文明堂のCM「カステラ1番,電話は2番,3時のおやつは文明堂・・・」でも有名です。
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