【推薦盤】
特選盤は少々古い録音となりますが,非常に聴いていて楽しい演奏であります,ワイエンベルクのピアノ,プレートル=パリ音楽院管の60年の録音を挙げましょう。
この演奏はとにかく快活で楽しく,ワイエンベルクのピアノ・ソロも古さを感じさせなく,プレートルの演奏も洒落ていて,即興感が溢れ出ている演奏となっております。
プレートルは学生時代にはトランペット専攻で,ジャズ・クラブでも演奏していたとのことで,パリ音楽院管がまるでジャズ・バンドのように演奏しているのも頷けます。
冒頭のクラリネットのグリッサンドから,ジャズのムードが満点です。
次に,バーンスタインの弾き振り,コロンビア響の59年の録音をお薦めしましょう。
私が初めて聴いたこの曲の演奏が,このバーンスタインの弾き振りでした。
以来,私のとってこの曲の基準となる演奏でもありますが,その演奏内容は素晴らしいものであります。
若かりし頃のバーンスタインの良さが明確に出ている演奏で,非常に快活なテンポで爽快感を与える演奏となっております。
バーンスタインは晩年の82年にも,ロスアンジェルス・フィルと弾き振りでライヴ録音を残しておりますが,確かに音楽性では後者の方が上ですが,テンポ設定はもとより,圧倒的な熱演になっているのは旧盤の方で,聴き比べるとその特徴がはっきり分かります。
モーツァルトやベートーヴェン,ブラームスなどの音楽は,晩年の演奏を好みますが,この手の音楽は若かりし頃の演奏の方を好みます。
次に,プレヴィン弾き振り,ロンドン響の71年の録音をお薦めしましょう。
この演奏は,想像どおりの素晴らしい演奏で,それもそのはず,プレヴィンはジャズ・ピアニストとしても一流であったので,正にプレヴィンにはピッタリの曲と言えましょう。
その演奏内容ですが,クラシックとジャズの絶妙なバランスと,思わせぶりが一切感じられない少々控えめなピアノとオーケストラ・サウンドのバランスがこれまた絶妙なところです。
なお,プレヴィンは84年にピッツバーグ響ともこの曲を録音しておりますが,こちらも非常に楽しめる演奏内容です。
次は,ロルティのピアノ,デュトワ=モントリオール響の88年の録音をお薦めします。
こういう曲をやらせると,文句なくセンスを感じさせるのがデュトワで,まず外しませんね・・・。
管楽器が非常にカラフルな音色で,非常にフレキシブルな爽快な演奏となっており,透明感溢れる演奏となっております。
次は,少々変わり種の演奏で,作曲者ガーシュウィン自身のピアノ・ロール,マイケル・ティルソン・トーマス(MTT)=コロンビア・ジャズ・バンドの76年の録音をお薦めしましょう。
この演奏は,解説にもあるとおり,オリジナル・ジャズ・バンド稿を使用しており,ガーシュウィンの自作自演のピアノ・ロールのソロパートを取り出し,コロンビア・ジャズ・バンドによりレコーディングされたものであります。
MTTの演奏は,アメリカもの以外は正直聴く気にはなれず,私も彼の録音をほとんど持っておりませんが,アメリカのこのような曲では素晴らしい演奏を披露しております。
もしかしたらMTTは音楽の道を間違ったのではないかしら・・・。
最後のお薦めは,これも変わり種の演奏,ラベック姉妹のピアノ,シャイー=クリーヴランド管の85年の録音です。
この演奏は,一見,2台のピアノ・ソロによる演奏のように思われますが,解説にもあるとおり,そのような稿は存在しておりません。
では,どのような演奏かというと,ワトソン稿(現在,通常に演奏される稿)を使用し,姉妹で左手と右手を弾き分けるという,非常に珍しい(多分これまで録音はないと思われます)演奏なのです。
演奏内容は,姉妹ならではの息の合った演奏を披露しているとともに,若い頃にジャズ・ドラムに夢中だったというシャイーの非常に明るい演奏となっております。
ちなみにラベック姉妹は,80年にこの曲の2台のピアノ稿(オーケストラなし)を録音しておりますが,こちらは未聴です。
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