クラシックにくびったけ  
     

G・T・ホルスト
 

組曲「惑星」作品32

【特選】
 指揮:エイドリアン・ボールト
 演奏:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音:1978年

【推薦①】
 指揮:ジェイムズ・レヴァイン
 演奏:シカゴ交響楽団
 録音:1989年

【推薦②】
 指揮:エフゲニー・スヴェトラーノフ
 演奏:フィルハーモニア管弦楽団
 録音:1991年

   

【解説】
 大管弦楽のための組曲「惑星」は,イギリスの作曲家のホルストが作曲した,ホルストの代表作であり,20世紀を代表する管弦楽曲でもあります。
 この組曲は7つの楽章からなり,それぞれにローマ神話に登場する神々にも相当する惑星の名が付けられています。
 順に,「火星,戦争をもたらす者」「金星,平和をもたらす者」「水星,翼のある使者」「木星,快楽をもたらす者」「土星,老いをもたらす者」「天王星,魔術師」「海王星,神秘主義者」となっております。
 作曲当時は冥王星が発見されていなく7つの惑星でしたが,結局は冥王星が準惑星に格下げとなったことから,問題は解決されました。
 元々この曲は,「惑星」としてではなく「7つの管弦楽曲」として作曲が開始されました。
 第1曲の「火星」の5拍子など民族的なリズムや,「海王星」などで現れる神秘的な和音など,作曲当時のある種の流行を取り入れていますが,その親しみやすさのおかげで20世紀の音楽としては珍しく日常的に聞く機会に恵まれた曲になっております。
 なお,イギリスの作曲家であるマシューズが,当時惑星だった冥王星を補完するために作曲した曲を最後にカップリングとして入れている録音もありますが(私が所有している者として,ラトル=ベルリン・フィル,ロイド=ジョーンズ=ロイヤル・スコティッシュ管,エルダー=ハレ管の3種),今となっては無駄な行為であったと言えるかもしれません。

 


【推薦盤】
 特選盤は,この曲の初演者でもあるボールト=ロンドン・フィル(78年録音)の演奏を選びたいと思います。
 この曲の初演者らしく,曲に対する理解度が深い演奏となっており,この曲の演奏の見本となる演奏と言えるでしょう。
 演奏内容は,ことさら大きな力みは見られませんが,全体を通じて澄み切った演奏を披露しております。

 次に,私の嫌いなレヴァインですが,この演奏に限ってはシカゴ響のパワフルさを十分に発揮して,ハイパワー,ハイカロリーな演奏となっております(89年録音)。
 あまり芸術性のない曲ですと,レヴァインも良いのかもしれません・・,同じくあまり好きではないカラヤンやオーマンディも悪くないですし・・・。
 この演奏は,シカゴ響のパワー全開で,スーパーオーケストラとしての機能を十分に発揮しており,正にシカゴ響の面目躍如の演奏です。

 最後に,スヴェトラーノフ=フィルハーモニア管(91年録音)を挙げておきましょう。
 スヴェトラーノフ独特の重戦車的な演奏というか,「惑星」ですので,この演奏は正に宇宙戦艦ヤマトのアニメの世界による,白色彗星=巨大戦艦的な演奏です。
 火星などは,火星人に侵略を受けるような雰囲気がたっぷりの演奏です。