【解説】
大管弦楽のための組曲「惑星」は,イギリスの作曲家のホルストが作曲した,ホルストの代表作であり,20世紀を代表する管弦楽曲でもあります。
この組曲は7つの楽章からなり,それぞれにローマ神話に登場する神々にも相当する惑星の名が付けられています。
順に,「火星,戦争をもたらす者」「金星,平和をもたらす者」「水星,翼のある使者」「木星,快楽をもたらす者」「土星,老いをもたらす者」「天王星,魔術師」「海王星,神秘主義者」となっております。
作曲当時は冥王星が発見されていなく7つの惑星でしたが,結局は冥王星が準惑星に格下げとなったことから,問題は解決されました。
元々この曲は,「惑星」としてではなく「7つの管弦楽曲」として作曲が開始されました。
第1曲の「火星」の5拍子など民族的なリズムや,「海王星」などで現れる神秘的な和音など,作曲当時のある種の流行を取り入れていますが,その親しみやすさのおかげで20世紀の音楽としては珍しく日常的に聞く機会に恵まれた曲になっております。
なお,イギリスの作曲家であるマシューズが,当時惑星だった冥王星を補完するために作曲した曲を最後にカップリングとして入れている録音もありますが(私が所有している者として,ラトル=ベルリン・フィル,ロイド=ジョーンズ=ロイヤル・スコティッシュ管,エルダー=ハレ管の3種),今となっては無駄な行為であったと言えるかもしれません。
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