(特選盤)
この曲の特選盤は,なかなか決まりませんでしたが,結局消去法で,スヴェトラーノフ=ロシア国立響の92年の録音としました。
どうやら,世間では旧盤(R=コルサコフ交響曲・管弦楽曲全集)の評判が良いのですが,その音源を所有しておりませんので,新盤をお薦めしましょう。
この頃のスヴェトラーノフは,日本でのチャイコフスキー交響曲チクルスを成功させたことを契機として,そのライヴ録音を担当したCANYONの録音技術に大いに感動したそうで,その後にもチャイコフスキーの交響曲全集を同じレーベルで3年後にセッション録音するほか,この曲が入っているロシア名曲集など,多くの録音を非常に良い録音条件で残しております。
ちなみにこの頃のCANYONはスヴェトラーノフのほか,小林研一郎=日本フィルとのチャイコフスキー交響曲全集やマーラーの交響曲全集,朝比奈隆=大阪フィルなどのブルックナーやベートーヴェンの交響曲全集など,破竹の勢いで名演奏・名録音を残しております。
さて,演奏内容ですが,スヴェトラーノフらしいダイナミックな演奏を披露しているものの,彼らしい重戦車的な壮絶な演奏とまでは行っていない印象です。
しかしながら,セッション録音でありますことから,細部にわたってこだわりを見せた演奏となっており,前述のとおり消去法ではありますが,特選盤といたしましょう。
(推薦盤①)
次に推薦盤ですが,まずは,ロストロポーヴィチ=パリ管の76年の録音をお薦めしましょう。
この演奏は,名盤誉れ高いR=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」のアルバムに入っておりますが,この「シェエラザード」も大変素晴らしい演奏ですが,この曲も負けじと素晴らしい演奏になっており,特に非常に起伏のある演奏,パリ管の頑張りも良く,ダイナミックなスタイルを取っております。
(推薦盤②)
次に,少々変わった演奏ながら,その内容が素晴らしい,マゼール=クリーヴランド管の79年の録音を紹介しましょう。
この演奏は,実にロシア臭さを全く感じさせない演奏で,これはこのコンビの特徴でもあり,同コンビのチャイコフスキーの後記交響曲集しかり,プロコフィエフのバレエ「ロメオとジュリエット」しかりです。
しかしながら,非常に俊敏で明快な曲づくりを行っており,色彩感豊かなところが共通している演奏群です。
(推薦盤③)
最後に,パレー=デトロイト響の53年の録音を紹介しましょう。
他の曲でも紹介しておりますが,当時のMERCURYの録音は驚異的で,モノラル終期からステレオ初期の録音ながら,非常に鮮明で鮮烈なサウンドは素晴らしいです(パレーやドラティの録音が多い)。
今回紹介するのは,音源はMERCURYですが,タワーレコードが独自企画「ポール・パレーの芸術」で世界初CD化されたものです(MERCURYの通常盤では,この曲はドラティの録音がCD化されています)。
さて,演奏の内容でありますが,パレーらしいきびきびとしたテンポで軽快・颯爽に曲を展開させており,力みのない演奏となっております。
その他にも,デュトワ=モントリオール響の明快な演奏も悪くありません。
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