クラシックにくびったけ  
     

E・ラロ
 
ヴァイオリン協奏曲第2番作品21「スペイン交響曲」

 【特選】

   ヴァイオリン:チョン・キョンファ

   指揮:シャルル・デュトワ

   演奏:モントリオール交響楽団

   録音:1980年

 【推薦】

   ヴァイオリン:オーギュスタン・デュメイ

   指揮:ミシェル・プラッソン

   演奏:トゥールーズ市立管弦楽団

   録音:1988年

 

【解説】

 この曲は,ラロが作曲家で名ヴァイオリニストでもあったサラサーテのために作曲した作品で,交響曲と題されており5楽章形式ではありますが,実質的にはヴァイオリン独奏と管弦楽のために作曲された,交響的協奏曲であります。

 その名のとおり,随所にスペイン的な主題が使用されております。

 第3楽章に間奏曲を配置しているのも特徴ですが,作曲されて以降20世紀前半までは,この間奏曲を省いて演奏される習慣がありましたが,ヴァイオリニストのメニューインが全曲演奏と全曲録音を行ったことから,現在ではカットなしの演奏が一般化されております。

 

(特選盤)

 あまり多くの音源を有していない中,2つの推薦盤を紹介したいと思います。

 まずは特選盤として,チョン・キョンファの独奏,デュトワ=モントリオール響の80年の録音を挙げたいと思います。

 チョンのヴァイオリンは,特にデビュー当時から,非常に動的で生命力が溢れているのが特徴でありますが,この演奏においても同じ印象であり,非常に情熱的な演奏を繰り広げております。

 また,デュトワのバックも力強く,さらに録音も優秀でありますので,万人にお勧めできる1枚と言えましょう。

 

(推薦盤)

 次に,デュメイの独奏,プラッソン=トゥールーズ市立管の88年の録音をお薦めしましょう。

 デュメイは,チョンと並んで私の好きなヴァイオリニストのひとりでありますが,この両者の演奏は印象が違います。

 チョンは前述のとおり,演奏スタイルは一言で言うと「情熱的」でありますが,デュメイは「ダイナミック」または「変幻自在」という言い方がしっくりきます。

 デュメイのヴァイオリンは,表情が非常に豊かでありながら,時には美しく,そしてときには自由奔放で,非常に魅力のある演奏をこの曲でも聴かせてくれており,さらにフランスもののスペシャリストでもあるプラッソンの演奏も歯切れが良く,さらにチョン盤同様に録音も素晴らしいものとなっております。

  その他にも,歴史的な録音として,ティボーの独奏,アンセルメ=スイス・ロマンド管の41年の録音や,フーベルマンの独奏,セル指揮の2種類の録音(34年ウィーン・フィル,37年チェコ・フィル)の演奏もあります。