クラシックにくびったけ  
     

M・ムソルグスキー
 

交響詩「はげ山の一夜」

【特薦】
  指揮:エフゲニー・スヴェトラーノフ
  演奏:ロシア国立交響楽団
  録音:1992年

【推薦①】
  指揮:クライディオ・アバド
  演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1993年ライヴ

【推薦②】
  指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
  演奏:モスクワ放送交響楽団
  録音:1981年

【推薦③】
  指揮:フリッツ・ライナー
  演奏:シカゴ交響楽団
  録音:1959年

   


【解説】
 ムソルグスキーは,「展覧会の絵」によりその名が知られていますが,作曲した作品数は多くなく,管弦楽曲としての作品はほとんど残しておりませんが,その中でも唯一有名なのが,交響詩「はげ山の一夜」です。
 この曲は様々な変遷を経て,現在の形となりました。
 最初は未完のオペラ「サランボー」において,「巫女たちの合唱」の場面でモチーフが登場し,そのオペラにおいて原曲が登場したところから始まります。
 次に,ムソルグスキー本人が作曲をした,いわゆる原典版と呼ばれるものですが,これはピアノ曲である「聖ヨハネ祭前夜の禿山」を管弦楽曲へ編曲したものです。
 次に,ムソルグスキー晩年の未完のオペラ「ソローチンツィの市」の合唱曲「若者の夢」として,この「禿山の一夜」が用いられております。
 そして最後に,R=コルサコフが編曲した,一番親しまれているバージョンで,このような4回の作曲・編曲の変遷を経ております。

【推薦盤】

 「はげ山の一夜」の特選は,重戦車のごとく曲が展開される,スヴェトラーノフ=ロシア国立管の92年の録音を選びたいと思います。
 まぁまぁ,凄まじいこと凄まじいこと,スヴェトラーノフ節全開のパワフルな演奏となっており,これだけで解説の必要はないでしょう。

 次に,アバド=ベルリン・フィル(93年ライヴ)が登場で,ムソルグスキーだけはいいんです,ホント,この指揮者,他は嫌いですけれど。
 しかも,このアバド,知る人ぞ知る「はげ山の一夜フリーク」なのです。
 解説にある原型を含めたこの曲の4種類全ての録音を全て行っている,唯一の指揮者なのです。
 この辺からも,はげ山やムソルグスキーへの思い入れを感じますが,ここで推薦するのは原典版です。
 ムソルグスキーの荒削りながらも,才能溢れる原典版の決定盤がこの1枚で,「展覧会の絵」のカップリングなので,二度美味しいです。

 同じくロシアの指揮者から,フェドセーエフ=モスクワ放送響(81年録音)の演奏。
 このコンビの演奏は非常によいものが多く,ロシア物以外でもお奨めできるものがあります(スメタナの「わが祖国」など)。
 私も,この曲ではありませんが,このコンビのライヴは札幌のキタラで2度聴いておりますが,何せ,弦楽器の鳴らし方が半端でなく,チェロなどは弾くように弾いていたのを思い出します,迫力満点の演奏です。
 この曲は,直線的な演奏でも十分に魅力を感じる曲ですので,それに打って付けの指揮者であるライナー=シカゴ響の59年の録音も,迫力あるものに仕上がっております。
 最近,ライナーの演奏が,今更ながら心地よくなってきた私がおります。