クラシックにくびったけ  
     

P・d・レスピーギ

 
交響詩「ローマの噴水」

【特選】
  指揮:アルトゥーロ・トスカニーニ
  演奏:NBC交響楽団
  録音:1951年

【推薦①】
  指揮:フリッツ・ライナー
  演奏:シカゴ交響楽団
  録音:1959年

【推薦②】
  指揮:リッカルド・ムーティ
  演奏:フィラデルフィア管弦楽団
  録音:1984年

【推薦③】
  指揮:シャルル・デュトワ
  演奏:モントリオール交響楽団
  録音:1982年

【推薦④】
  指揮:山田一雄
  演奏:東京都交響楽団
  録音:1989年ライヴ

【推薦⑤】
  指揮:アンドレア・バッティストーニ
  演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
  録音:2013年ライヴ


【解説】
  ローマ三部作は,言うまでもなく「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭り」の3つの交響詩を指す,レスピーギの代表作であります。

 「ローマの噴水」は,「夜明け」「朝」「真昼」「黄昏」のそれぞれの時間帯の違う場所にある噴水を表しており,4つの部分は続けて演奏される,「噴水」をテーマとした交響詩の形が取れている作品で,レスピーギがロシアのオケのヴィオラ奏者を務めていた際に学んだR=コルサコフの影響が非常に出ている作品です。

 初演は失敗に終わっていますが,翌年に再演された際には大絶賛を受けたとのことです(指揮はトスカニーニ)。

 なお,4つの噴水とは,「夜明けのジューリアの谷の噴水」「朝のトリトーネの噴水」「真昼のトレヴィの噴水」「黄昏のメディチ荘の噴水」です。

【推薦盤】
 この曲は,ズバリ,トスカニーニ=NBC響(51年のモノラル録音)で決まりです。
 トスカニーニの演奏により,広く知られるようになったこの曲ですが,一方でレスピーギとの親交もあったトスカニーニの演奏は,正に決定盤と言っても良いでしょう。
 59年のライナー=シカゴ響の演奏もお奨めします。
 この曲の内容から,この指揮者とオケは合うと容易に想像できますが,演奏内容は正に想像通りで,シカゴ響のゴージャスな演奏とライナーの直線的な解釈がピッタリはまっております。

 84年のムーティ=フィラデルフィア管の演奏も中々の出来です。
 このコンビでは,ローマ三部作が一番良い出来ではないかと思うほどで,速めのテンポを採用し,スマートかつ重厚な演奏を披露してくれております。

 82年のデュトワ=モントリオール響も,フランス物でも聴かせてくれている,非常に澄んだ演奏をこの「噴水」で聴かせてくれております。
 録音の良さもあわせて,好演となっております。
 しかしながら,「ローマの松」「ローマの祭り」では,残念ながらこの透明感が仇となり,スピード感も足りない駄演となっており,三部作としてはお奨めできない録音です。

 次に,山田一雄=東京都響の89年の渾身のライヴをお薦めしましょう。
 一言で言うと,見事な演奏です。
 その迫力といい,旋律の歌わせ方といい,申し分ありません。
 日本を代表するオーケストラの1つである東京都響の実力を十分に発揮されたローマ三部作の名盤であります。

 最後に,バッティストーニ=東京フィルの2013年ライヴを挙げましょう。
 ローマ三部作のこのライヴですが,私が聴く中では東京フィルのベスト・パフォーマンスと言える演奏内容となっており,3曲ともに素晴らしい出来となっております。
 この曲では,他の2曲と比較して,非常に彫りの深い演奏を披露しております。
 このアルバムは,トスカニーニのローマ三部作と同等に扱われて然るべき内容を持っている,驚異のアルバムと言っても大げさではないでしょう。
 なお,録音も非常に優秀であることも付け加えておきましょう。