【推薦盤】
この曲の特選盤は,スメターチェク=チェコ・フィル(80年録音)が超お薦めです。
ドヴォルザークの「新世界交響曲」同様に,素晴らしい演奏を披露してくれています。
この連作交響詩は,6曲どれをとっても隙のない演奏となっております。
この曲全体を通して1枚選ぶのなら,私は間違いなくスメターチェクをセレクトします。
この指揮者,かなり録音を残しているとのことですが,意外とCD化されていませんし,レコードも当時は出ていない記憶があります。
テープが劣化する前に,是非とも世に出して欲しいものです。
グリーグの「ペールギュント」組曲なども最高に楽しめます。
東西冷戦当時,東のカラヤンと呼ばれていたそうですが,芸風は明らかに違うものの,レパートリーの広さから呼ばれたのでしょうか・・・。
その他の推薦盤としては,この曲においてはクーベリックを外すことはできません。
4種類のCDを有しておりますが,完成度の高さではボストン響(71年録音)を,燃焼度ではチェコ・フィルの91年ライヴ,貴重度で言えばチェコ・フィルとの90年ライヴでしょうか。
ボストン響との演奏は,この曲としてある意味頂点を極めた完成度を有しており,録音も優秀で,スメターチェクと双璧の演奏であると言えましょう。
ただ,この4枚から1枚だけを選ぶとすれば,91年の日本ライヴを選びます。
確かに,前年のチェコでの凱旋ライヴも良いのですが,さらに燃焼度と完成度が高い演奏となっており,最後の来日で素晴らしい演奏を披露してくれたのは,ファンの中でも伝説となっているとのことです。
このような演奏会に行ってみたいものです。
さて,上記以外のお奨めとしては,少々変わり種の演奏をセレクトしてみました。
まずはフェドセーエフ=モスクワ放送響(86年録音)からですが,「ロシアの指揮者のチェコ物?」というって感じがしますが,結構このような組み合わせでの名演はあります。
少し例を挙げてみると,例えば,レスピーギの交響詩「ローマの祭り」をだと,レスピーギはイタリアの出身であるけれども,この曲の名演となるとイタリア出身の指揮者ではトスカニーニかムーティくらいなもので,その他の名演となると,他の国の指揮者やオーケストラの組み合わせが多く,エンリケ・バティス(メキシコ出身)指揮のロイヤル・フィル(イギリス)の演奏や,エフゲニー・スヴェトラーノフ(現ロシア出身)指揮のソヴィエト国立交響楽団(現ロシア)の演奏,さらにはリコ・サッカーニ指揮(アメリカ出身)のブダペスト・フィル(ハンガリー)の演奏など。
さて,話はそれましたが,フェドセーエフのわが祖国はなかなかの力演で,若干のロシア臭さを感じさせるものの,出来の良い演奏です。
彼の演奏会は2度,キタラで聴きましたが,いずれの演奏会も素晴らしく,オケの鳴り方も尋常ではありませんでした。
次に,マタチッチのライヴですが,いつものように巨大な音楽が創造されております。
NHK響の方は,マタチッチの来日初期の演奏ですので,NHK響との相性がイマイチかなという感じもしますが,ウィーン放送響との82年ライヴは燃焼度も高く,後半に行けば行くほど熱くなってくる演奏です。
ちなみの,双方とも1枚のCDに入りきらないため,この曲では珍しい2枚組となっております。
デイヴィス=ロンドン響(2005年ライヴ)は,デイヴィスのライヴでの良さが出た演奏で,特に3曲目のシャールカの出来が素晴らしく,他のお奨め演奏の中でも光っております(シャールカではダントツの出来の良さ)。
アーノンクール=ウィーン・フィルの2001年ライヴは,やはりこの曲でも発見の多い演奏を披露してくれるとともに,彼の演奏としては珍しく違和感のないものとなっております。
最後に,プラハの春のオープニングを日本人として初めて登場した際のライヴ録音(2002年)であります小林研一郎=チャコ・フィルですが,音源はDVDで所有しており,これも熱い演奏で,演奏終了後のスタンディングオーベーションが同じ日本人として誇らしく感じる,伝説的な名演です。
その他にも,ターリッヒやアンチェルの古き良き演奏も魅力的です。
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