クラシックにくびったけ  
     

B・スメタナ
 

連作交響詩「我が祖国」

【特選】
  指揮:ヴァーツラフ・スメターチェク
  演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1980年

【推薦①】
  指揮:ラファエル・クーベリック
  演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1991年ライヴ

【推薦②】
  指揮:ラファエル・クーベリック
  演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1990年ライヴ

【推薦③】
  指揮:ラファエル・クーベリック
  演奏:ボストン交響楽団
  録音:1971年

【推薦④】
  指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
  演奏:モスクワ放送交響楽団
  録音:1986年

【推薦⑤】
  指揮:ロヴロ・フォン・マタチッチ
  演奏:ウィーン放送交響楽団
  録音:1982年ライヴ

【推薦⑥】
  指揮:コリン・デイヴィス
  演奏:ロンドン交響楽団
  録音:2005年ライヴ

【推薦⑦】
  指揮:ニコラウス・アーノンクール
  演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:2001年ライヴ

【推薦⑧】
  指揮:小林研一郎
  演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
   録音:2002年ライヴ   

【解説】
 スメタナの代表的な作品でありますこの曲は,6つの交響詩からなる連作交響詩です。
 この曲は,毎年行なわれるプラハの春音楽祭のオープニング曲として演奏されることが恒例になっていることでも知られております。
 この曲は当初,「ジープ」「ヴィシェフラド」「ヴルタヴァ」「リパニー」「ビーラー・ホラ」の5つの地名を各曲の題名として構想していましたが,最終的には「ヴィシェフラド」「ヴルタヴァ」「シャールカ」「ボヘミアの森と草原から」「ターボル」「ブラニーク」の6曲となりました。
 中でも「ヴァルタヴァ」は「モルダウ」の名で知られており,クラシックの中でも大変な人気曲となっております。
 全曲通じて,スメタナの祖国への想いが表れているとともに,聴覚を失った頃の曲でもあり,貴重な名曲でもあります。


【推薦盤】
  この曲の特選盤は,スメターチェク=チェコ・フィル(80年録音)が超お薦めです。
 ドヴォルザークの「新世界交響曲」同様に,素晴らしい演奏を披露してくれています。
 この連作交響詩は,6曲どれをとっても隙のない演奏となっております。
 この曲全体を通して1枚選ぶのなら,私は間違いなくスメターチェクをセレクトします。
 この指揮者,かなり録音を残しているとのことですが,意外とCD化されていませんし,レコードも当時は出ていない記憶があります。
 テープが劣化する前に,是非とも世に出して欲しいものです。

 グリーグの「ペールギュント」組曲なども最高に楽しめます。
 東西冷戦当時,東のカラヤンと呼ばれていたそうですが,芸風は明らかに違うものの,レパートリーの広さから呼ばれたのでしょうか・・・。

 その他の推薦盤としては,この曲においてはクーベリックを外すことはできません。
 4種類のCDを有しておりますが,完成度の高さではボストン響(71年録音)を,燃焼度ではチェコ・フィルの91年ライヴ,貴重度で言えばチェコ・フィルとの90年ライヴでしょうか。
 ボストン響との演奏は,この曲としてある意味頂点を極めた完成度を有しており,録音も優秀で,スメターチェクと双璧の演奏であると言えましょう。
 ただ,この4枚から1枚だけを選ぶとすれば,91年の日本ライヴを選びます。
 確かに,前年のチェコでの凱旋ライヴも良いのですが,さらに燃焼度と完成度が高い演奏となっており,最後の来日で素晴らしい演奏を披露してくれたのは,ファンの中でも伝説となっているとのことです。
 このような演奏会に行ってみたいものです。

 さて,上記以外のお奨めとしては,少々変わり種の演奏をセレクトしてみました。
 まずはフェドセーエフ=モスクワ放送響(86年録音)からですが,「ロシアの指揮者のチェコ物?」というって感じがしますが,結構このような組み合わせでの名演はあります。
 少し例を挙げてみると,例えば,レスピーギの交響詩「ローマの祭り」をだと,レスピーギはイタリアの出身であるけれども,この曲の名演となるとイタリア出身の指揮者ではトスカニーニかムーティくらいなもので,その他の名演となると,他の国の指揮者やオーケストラの組み合わせが多く,エンリケ・バティス(メキシコ出身)指揮のロイヤル・フィル(イギリス)の演奏や,エフゲニー・スヴェトラーノフ(現ロシア出身)指揮のソヴィエト国立交響楽団(現ロシア)の演奏,さらにはリコ・サッカーニ指揮(アメリカ出身)のブダペスト・フィル(ハンガリー)の演奏など。

 さて,話はそれましたが,フェドセーエフのわが祖国はなかなかの力演で,若干のロシア臭さを感じさせるものの,出来の良い演奏です。
 彼の演奏会は2度,キタラで聴きましたが,いずれの演奏会も素晴らしく,オケの鳴り方も尋常ではありませんでした。

 次に,マタチッチのライヴですが,いつものように巨大な音楽が創造されております。
 NHK響の方は,マタチッチの来日初期の演奏ですので,NHK響との相性がイマイチかなという感じもしますが,ウィーン放送響との82年ライヴは燃焼度も高く,後半に行けば行くほど熱くなってくる演奏です。
 ちなみの,双方とも1枚のCDに入りきらないため,この曲では珍しい2枚組となっております。

 デイヴィス=ロンドン響(2005年ライヴ)は,デイヴィスのライヴでの良さが出た演奏で,特に3曲目のシャールカの出来が素晴らしく,他のお奨め演奏の中でも光っております(シャールカではダントツの出来の良さ)。
 アーノンクール=ウィーン・フィルの2001年ライヴは,やはりこの曲でも発見の多い演奏を披露してくれるとともに,彼の演奏としては珍しく違和感のないものとなっております。

 最後に,プラハの春のオープニングを日本人として初めて登場した際のライヴ録音(2002年)であります小林研一郎=チャコ・フィルですが,音源はDVDで所有しており,これも熱い演奏で,演奏終了後のスタンディングオーベーションが同じ日本人として誇らしく感じる,伝説的な名演です。
 その他にも,ターリッヒやアンチェルの古き良き演奏も魅力的です。