クラシックにくびったけ  
     

R・シュトラウス
 
交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30

【特選】
  指揮:クレメンス・クラウス
  演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1950年

【推薦①】
  指揮:小澤征爾
  演奏:ボストン交響楽団
  録音:1981年

【推薦②】
  指揮:アンドレ・プレヴィン
  演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1987年

【推薦③】
  指揮:クラウス・テンシュテット
  演奏:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1989年

【推薦④】
  指揮:フリッツ・ライナー
  演奏:シカゴ交響楽団
  録音:1954年

【推薦⑤】
  指揮:ズービン・メータ
  演奏:ニューヨーク・フィルハーモニック
  録音:1980年


【解説】

 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」は,ニーチェの著作にヒントを得て作曲されましたが,原作の思想を表現したというわけではなく,原作のいくつかの部分を選んで,その印象を表現しております。

 この曲は,とりわけ導入部が有名で,映画「2001年宇宙の旅」でも使用され,その印象が非常に強く,その時代の方には映画共々,強烈な印象を残しております。

 導入部を含めて全体は9部からなっており,導入部以降は,「世界の背後を説く者について」,「大いなる憧れについて」,「喜びと情熱について」,「墓場の歌」,「学問について」,「病より癒え行く者」,「舞踏の歌」,「夜の流離い人の歌」と続きます。

【特選】
 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」で最初にお薦めする演奏は,クラウス=ウィーン・フィルの50年の録音です。
 クラウスはR・シュトラウスの録音を数多く残しておりますが,そのどれもが名演となっており,全てをお薦めすることができます。
 この曲においても,クラウスとR・シュトラウスの相性の良さが表れている演奏内容となっており,録音以外は素晴らしいです。

【推薦①】
 クラウスの録音はモノラルでしたので,ステレオ録音のお薦めを紹介します。
 まずは,小澤=ボストン響(81年録音)ですが,録音の点では後ほど紹介しますプレヴィン盤と双璧の素晴らしい音です。
 演奏内容についても,ボストン響の機動性が十分に発揮されており,小澤の録音の中でもかなり上位に位置する音源であると思っており,丁寧さが非常に好感持てる演奏です。

【推薦②】
 プレヴィン=ウィーン・フィル(87年録音)の演奏も,小澤盤同様に録音,演奏共々,非常に良い内容となっております。
 演奏は,小澤同様に丁寧に仕上げられており,違和感なく聴き込むことができる内容となっております。

【推薦③】
 テンシュテット=ロンドン・フィル(89年録音)の演奏も,素晴らしい内容となっております。
 テンシュテットとのコンビでマーラーでも名演奏を残しているロンドン・フィルですが,ここでも希薄にならない演奏を披露しており,非常に好感が持てる演奏内容となっております。

【推薦④】
 ライナー=シカゴ響(54年録音)も,相変わらずの直線的な演奏ですが,これがこの曲にもはまっております。
 ライナーの場合,例の調子でひたすらストイックに向かっていく演奏スタイルですが,これがR・シュトラウスやバルトークなどとの相性が良く,ステレオ初期の録音も悪くないことから推薦いたします。

【推薦⑤】
 最後に,メータ=ニューヨーク・フィル(80年録音)ですが,旧盤のロスアンジェルス・フィルと比較して録音,演奏内容ともに良くなっております。
 メータという指揮者ですが,彼に芸術性の高い作品や芸術性を求める演奏を期待するのは酷であり,その点ではR・シュトラウスの管弦楽曲やウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートにおけるシュトラウス・ファミリーのポルカ・ワルツなどは彼向きの作品群と言えましょう。
 決して古典派やロマン派の演奏を聴くことのないよう,気をつけましょう(メータファンの方には申し訳ありません)。

 その他の推薦盤として,ショルティ=シカゴ響の豪快な演奏もお薦めします。