クラシックにくびったけ  
     

R・シュトラウス
 
交響詩「ドン・ファン」作品20

【特選】
  指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
  演奏:パリ音楽院管弦楽団
  録音:1956年

【推薦①】
  指揮:ウィレム・メンゲルベルク
  演奏:アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
  録音:1938年

【推薦②】
  指揮:ウィレム・メンゲルベルク
  演奏:アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
  録音:1940年ライヴ

【推薦③】
  指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
  演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1954年

【推薦④】
  指揮:クレメンス・クラウス
  演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1950年

【推薦⑤】
  指揮:ジョージ・セル
  演奏:クリーヴランド管弦楽団
  録音:1957年

【推薦⑥】
  指揮:カール・ベーム  
  演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1977年ライヴ


【解説】

 この交響詩は,作品番号が20ということで,R・シュトラウスの交響詩の中でも最初に作曲されたと思われがちですが,実際は作品番号23の交響詩「マクベス」が最初の交響詩で,同曲は改訂を行ったことから作品番号が後となってしまいました。
 この曲は,理想の女性を追い求めて遍歴を重ねるスペインの伝説上の人物であるドン・ファンを主題とした曲で,R・シュトラウスの出世作であります。
 曲では,ホルンがドン・ファンの2つのテーマを奏でており,重要な楽器として扱われます。

 

【特選】
 この曲の名演のほとんどはモノラル時代の演奏で,その中で1枚を挙げるとするならば,クナッパーツブッシュ=パリ音楽院管(56年録音)を推薦します。
 クナッパーツブッシュならではの巨大な曲づくりがこの曲でも展開されており,個性的な演奏を披露しております。
 モノラルながら録音も悪くなく,当時としては聴きやすいレベルだと思います。
 それにしてもルーズなクナとルーズなオケが合わさると不思議と名演が生まれるのですね,交響詩「死と変容」同様に(マイナス×マイナス=プラスの原理か・・・)。

【推薦①②】
 次に,古いところでメンゲルベルク=コンセルトヘボウ管をお奨めします。
 2種類の録音(スタジオとライヴ)がありますが,演奏内容はライヴ盤(40年録音),録音はスタジオ盤(38年録音)がお奨めです。
 いずれも演奏内容は非常に濃いものとなっており,ポルタメントも全開,計算し尽くされたドラマティックな演奏です。
 それにしても,38年のスタジオ録音盤は当時としては驚異的な音質の良さです。

【推薦③】
 古い録音からもう1枚,フルトヴェングラー=ウィーン・フィルの54年盤をお薦めします。
 私が知り得る限り,フルトヴェングラーはこの曲を合計5回も録音(所有音源は2枚のみ)しており,これはカラヤンと最多タイの録音回数です。
 そのうち4回はベルリン・フィルとの録音ですが,唯一のウィーン・フィルとの録音についてはスタジオ録音と言うこともあり音質が良く,最晩年の演奏ということもあり,フルトヴェングラーのロマンを感じさせる内容となっております。

【推薦④】
 古い録音からさらにもう1枚,クラウス=ウィーン・フィルの演奏(50年録音)で,この演奏でもクラウスとR・シュトラウスの相性の良さが感じられます。
 録音がモノラルということを除けば,一般的にお薦めできる演奏としてトップに位置するものと言えましょう。

【推薦⑤】
 ステレオ録音からは,セル=クリーヴランド管(57年録音)をお薦めします。
 セルらしい颯爽とした演奏内容となっており,クリーヴランド・サウンドも十分に魅力アルものとなっております。
 なお,所有していない音源として,ベルリン・フィルとのライヴもありますが,こちらの演奏は緩急自在のセルのライヴらしい演奏内容とのこと,入手したいものです。

【推薦⑥】
 最後に,ベーム=ウィーン・フィルの77年ライヴ盤をお薦めします。
 私が知り得る限り,ベームのこの曲の音源も4種類残っており,ドレスデン国立歌劇場管とのモノラル盤,ベルリン・フィルとのスタジオ盤,ウィーン・フィルとのライヴ盤(映像),それと私が所有している日本ライヴです。
 他の音源が聴いておりませんが,日本ライヴでは,白熱した演奏をベームが披露しており,ライヴならではの緊張かなる演奏内容となっております。

 その他の推薦盤として,「ドン・ファン」には,ライナー=シカゴ響の直線的な表現の演奏やワルター=フランス国立管との白熱したライヴ録音などがあります。