【解説】
この曲は,R・シュトラウスの作品の中ではマイナーですが,芸術性より曲の楽しさが上回っている作品と言えます。
この曲は,R・シュトラウスが最初に標題を付けた作品としても貴重な作品で,これはリストやワーグナーの影響を受けた結果であり,これ以降,一連の交響詩を含む管弦楽曲が作られた訳です。
標題のとおり,イタリアの風景が描写されており,第1楽章は「カンパーニャにて」,第2楽章は「ローマの遺跡にて」,第3楽章:「ソレントの海岸にて」,第4楽章は「ナポリ人の生活」となっており,イタリア旅行の際にスケッチが描かれた作品です。
この4つの楽章の中で,一番有名で楽しいのが第4楽章で,有名な「フニクリ・フニクラ」のテーマが主題となっており,非常に親しみやすい曲の内容となっております。
実は,R・シュトラウスは,この「フニクリ・フニクラ」のテーマが,元々はイタリア民謡であると思い第4楽章の主題に使用したのですが,これが大きな勘違いで,この曲を演奏するたびに,「フニクリ・フニクラ」の作曲者に著作権料を支払う羽目となってしまいました。
1886年に作曲されたこの曲ですが,この時代に著作権というものがあること自体,ヨーロッパ文化は進んでいたのですね。
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