クラシックにくびったけ  
     

R・シュトラウス
 
交響的幻想曲「イタリアより」作品16

【特選】
  指揮:ノーマン・デル・マー
  演奏:オルフス交響楽団
  録音:1990年

【推薦①】
  指揮:クレメンス・クラウス
  演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1953年

【推薦②】
  指揮:リッカルド・ムーティ
  演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1989年

   

【解説】
 
 この曲は,R・シュトラウスの作品の中ではマイナーですが,芸術性より曲の楽しさが上回っている作品と言えます。
  この曲は,R・シュトラウスが最初に標題を付けた作品としても貴重な作品で,これはリストやワーグナーの影響を受けた結果であり,これ以降,一連の交響詩を含む管弦楽曲が作られた訳です。
 標題のとおり,イタリアの風景が描写されており,第1楽章は「カンパーニャにて」,第2楽章は「ローマの遺跡にて」,第3楽章:「ソレントの海岸にて」,第4楽章は「ナポリ人の生活」となっており,イタリア旅行の際にスケッチが描かれた作品です。
 この4つの楽章の中で,一番有名で楽しいのが第4楽章で,有名な「フニクリ・フニクラ」のテーマが主題となっており,非常に親しみやすい曲の内容となっております。
 実は,R・シュトラウスは,この「フニクリ・フニクラ」のテーマが,元々はイタリア民謡であると思い第4楽章の主題に使用したのですが,これが大きな勘違いで,この曲を演奏するたびに,「フニクリ・フニクラ」の作曲者に著作権料を支払う羽目となってしまいました。
 1886年に作曲されたこの曲ですが,この時代に著作権というものがあること自体,ヨーロッパ文化は進んでいたのですね。

【推薦盤】
 「イタリアより」ですが,絶対的な本命の演奏があります。
 デル・マー=オルフス響(90年録音)の演奏がそれで,非常に充実した演奏を披露しております。
 オルフス響(デンマーク)も大健闘しており,二流オーケストラではあるものの,非常にクリアな演奏を聴かせてくれております。
 デル・マーは,あまり録音が残されていない指揮者でありますが,私が所有している数少ない音源では,そのどれもが素晴らしい演奏で,チャイコフスキーの交響曲第5番では個性的な演奏を披露しているとともに,エルガーの威風堂々やエニグマ変奏曲も立派な演奏です。
 音源が発掘されることを期待しております。

 この曲の対抗としては,クラウス=ウィーン・フィル(53年録音)の演奏を挙げたいと思います。
 この演奏は,古くから有名で,ある意味絶対的な名盤であり,クラウスとR・シュトラウスの相性の良さが感じられるものです。
 この曲の見本的な演奏と言えましょう。

 最後にムーティ=ベルリン・フィル(89年録音)の演奏も素晴らしいです。
 私は,この曲を聴くきっかけとなったのは,中学校当時にエアチェックで聴いたことからなのですが,その時の演奏がムーティ指揮(オケは忘れてしまいましたがウィーン・フィルだったような気がします)のライヴでした。
 以降,そのエアチェックしたテープを良く聴いたものです(素晴らしい演奏だと記憶しております)。
 このベルリン・フィルとの演奏も,非常にクリアな演奏となっており,録音の良さも相まって,お奨めしたい音源です。
 ムーティとベルリン・フィルの組み合わせの音源も珍しいですが,曲の内容がイタリアであることからか,イタリア人のムーティとオーケストラの相性も非常に良いです。

 なお,ミラノ放送響との68年ライヴの音源もありますが,こちらは演奏内容以前に,当時としては録音があまりにも悪く,残念ながらお奨めできません。