クラシックにくびったけ  
     

I・F・ストラヴィンスキー
 

バレエ「火の鳥」

【特選】
  指揮:ベルナルド・ハイティンク
  演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1989年

【推薦①】
  指揮:エルネスト・アンセルメ
  演奏:ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
  録音:1968年

【推薦②】
  指揮:ピエール・ブーレーズ
  演奏:ニューヨーク・フィルハーモニック
  録音:1975年

【推薦③】
  指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
  演奏:シカゴ交響楽団
  録音:1969年

【解説】
 ロシアの民話に基づく1幕2場のバレエ音楽「火の鳥」は,ストラヴィンスキーの三大バレエ曲の1つで,一般的には組曲版が演奏されます。
 組曲版には3つの版があり,1911年版はオーケストラの規模はほぼ4管編成とかなり大きく,1919年版は一般的な二管編成で打楽器が減らされ,チェレスタは必須ではなく,ピアノパートに「またはチェレスタ」の注釈が添えられております。
 1945年版は1919年版とほぼ同一で,相違点は、スネアドラムが追加されていることなどですが,オーケストレーションが異なる箇所があります。
 一般的には1919年版が一番演奏頻度が高いですが,1945年版を好んで演奏する指揮者もおります。

【推薦盤】
 まずお薦めしたいのが,ハイティンク=ベルリン・フィル(89年録音)の演奏です。
 ハイティンクの演奏は,ハズレはあまりないのですけれど,かといってアタリも多くないという指揮者ですが,この「火の鳥」は名演を聴かせてくれております。
 彼らしいキビキビとしたリズムが繰り広げられ,推進力のある演奏となっております。

 次に,古いところから,アンセルメ=ニュー・フィルハーモニア管(68年録音)をお薦めします。
 ストラヴィンスキーと親交のあったアンセルメは,ストラヴィンスキーの曲を一通り録音しており,そのどれもが高水準でありますが,中でも「火の鳥」の出来は素晴らしく,ある意味見本とされるべき演奏だと思います。
 スイス・ロマンド管ではなくニュー・フィルハーモニア管との演奏ですが,オーケストラが違ってもアンセルメのスタイルは変わることなく演奏されております。

 ブーレーズ=ニューヨーク・フィル(75年録音)も素晴らしい演奏です。
 ブーレーズらしいある意味ユニークな演奏で,ある意味奇怪な演奏とも言えるかと思います。
 晩年のブーレーズは,絶頂期と比較し,良い意味で角が取れた感じがしますが,この録音は絶頂期の演奏で,様々な録音が世に出されるたびに賛否が出された頃のものですが,そもそもストラヴィンスキーの作品ですので,解釈云々よりも出てきている音で判断すればよいので,その点では70年代のこの演奏も面白いと思います。

 最後に,ジュリーニ=シカゴ響(69年録音)の演奏ですが,晩年のジュリーニのようにある意味重苦しい雰囲気はなく,ロシア的な感じもしない,どちらかというとラヴェル的な演奏になっているのが特徴で,これが見事にこの曲ではまっている演奏となっております。