【推薦盤】
特選盤ですが,前述したとおり,この曲は「爆演」を楽しむことに適した曲ということで,ショルティ=ウィーン・フィルの59年の録音をお薦めしましょう。
ショルティは,そもそも,スコア(楽譜)に忠実な指揮者でありますので,その演奏表現は結構薄っぺらいものが多く,例えば交響曲などでは,一部の曲(ハイドンの交響曲など)以外は,正直聴く気にもなりませんが,この曲では「爆演」をやってくれております。
この曲が入っているCDは,他にスッペの,喜歌劇「スペードの女王」,劇付随音楽(歌付笑劇)「ウィーンの朝・昼・晩」,劇付随音楽「詩人と農夫」のそれぞれの序曲が入っておりますが,そのいずれもが「爆演」です。
よくぞ,天下のウィーン・フィルをここまで引きずり回したな,と思います,ホントに。
テンポ設定は超快速,直線的な表現,抜群のオーケストラ・ドライヴ,自在のテンポの揺れ,どれをとっても飽きさせなく,鬱なときにこれらの演奏を聴くだけで気分がぶっ飛びます。
爆演好きな方には,是非ともコレクションに入れていただきたい逸品です。
推薦盤1枚目は,私の好みではないカラヤン=ベルリン・フィルの69年の録音をお薦めしましょう。
確かに,カラヤンの演奏は表面的なものが多く,特に古典派からロマン派にかけての交響曲などは聴くに堪えないものばかりですが(協奏曲は悪くありません),このような芸術性が高くない大衆的クラシックの小品の演奏に関しては,ある意味この指揮者に敵う者はおりません。
ただただひたすらゴージャズで,オーケストラをドライヴしておりますが,この曲に関してはそれで良いと思います。
逆に,交響曲の演奏では好んで聴く朝比奈隆の演奏は,あまりにも重苦しいテンポで,胃もたれをしてしまいます。
次に,指揮者の中でも,カラヤンと並んでオールラウンダーであります,バーンスタイン=ニューヨーク・フィルの67年の録音をお薦めしましょう。
バーンスタインの晩年の一連のDGのライヴ録音では,SONY時代(ニューヨーク・フィル)のテンポと比較して非常に遅くなっているのが特徴の1つで,逆に演奏は濃厚なものとなっており,一般的には私は晩年の演奏を好みますが,この曲の場合はそのスピード感やダイナミックな表現が合う曲なので,ニューヨーク・フィル時代の演奏がピッタリときます。
非常に軽快なサウンドを聴かせてくれており,聴くだけで楽しめる内容でもあり,颯爽としたオーケストラ・ドライヴを堪能できます。
最後に,97年のニュー・イヤー・コンサートから,ムーティ=ウィーン・フィルの演奏をお薦めしましょう。
この2度目のこのコンサートの登場となったムーティですが,この曲をコンサートの冒頭に持ってきて,華やかなファンファーレでコンサートをスタートさせております。
その演奏内容ですが,素晴らしいの一言で,ムーティには珍しくテンポを大きく揺らしており(この時期のムーティはテンポの揺れを多用していました),特に終結部の主題のトランペットが面白い表現となっており,見事コンサート1曲目にして聴衆を興奮することに成功しております。
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