【推薦盤】
この曲は,音源もあまり多くないため,推薦できる演奏も2つと少ないです。
そのような中で特選盤ですが,前述したとおり,この曲は「爆演」を楽しむことに適した曲ということで,ショルティ=ウィーン・フィルの59年の録音をお薦めしましょう。
ショルティは,そもそも,スコア(楽譜)に忠実な指揮者でありますので,その演奏表現は結構薄っぺらいものが多く,例えば交響曲などでは,一部の曲(ハイドンの交響曲など)以外は,正直聴く気にもなりませんが,この曲では「爆演」をやってくれております。
この曲が入っているCDは,他にスッペの,喜歌劇「スペードの女王」,劇付随音楽(歌付笑劇)「ウィーンの朝・昼・晩」,喜歌劇「軽騎兵」のそれぞれの序曲が入っておりますが,そのいずれもが「爆演」です。
よくぞ,天下のウィーン・フィルをここまで引きずり回したと思います。
テンポ設定は超快速,直線的な表現,抜群のオーケストラ・ドライヴ,自在のテンポの揺れ,どれをとっても飽きさせなく,鬱なときにこれらの演奏を聴くだけで気分がぶっ飛びます。
非常にエネルギッシュで,パワー溢れる演奏で,ショルティの火花が散るような指揮棒が想像できます。
爆演好きな方には,是非ともコレクションに入れていただきたい逸品です。
次に,指揮者の中でも,カラヤンと並んでオールラウンダーであります,バーンスタイン=ニューヨーク・フィルの63年の録音をお薦めしましょう。
バーンスタインの晩年の一連のDGのライヴ録音では,SONY時代(ニューヨーク・フィル)のテンポと比較して非常に遅くなっているのが特徴の1つで,逆に演奏は濃厚なものとなっており,一般的には私は晩年の演奏を好みますが,この曲の場合はそのスピード感やダイナミックな表現が合う曲なので,ニューヨーク・フィル時代の演奏がピッタリときます。
非常に軽快なサウンドを聴かせてくれており,聴くだけで楽しめる内容でもあり,颯爽としたオーケストラ・ドライヴを堪能できます。
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