『着地型観光のはなし』
最近,よく聞く言葉として,「着地型観光」とか「着地型ツーリズム」というものがあります。これまでの旅行商品や観光資源は「発地型」と言われ,都市部の旅行会社が旅行商品や観光資源を企画・開発するもので,旅行客の大半が居住する大都市の旅行会社は,旅行者のニーズを把握・発信するのに有利な立場に立っていたことから,ほとんどの旅行商品が「発地型」として造られてきました。
しかし,旅行者の嗜好(ニーズ)の多様化により,発地型商品や単なる観光資源のみでは,観光地としてのコンテンツ不足をきたし,旅慣れた旅行者需要に応えられなくなってきたことから,観光地の地元の人しか知らないような穴場や楽しみ方が求められるようになり,「着地型」で旅行商品や観光資源を企画・開発する必要が出てきました。地元にとってみても,新しい観光素材の掘り起こしや,都市部の旅行会社に提案する着地型が地域おこしにつながり,観光資源の開発に当たって,有力な武器になる可能性があることから,全国で様々な動きが見られるようになりました。
さて,旭川市においても,今年度から本格的な「着地型観光」の取り組みを行っております。その大きな目玉としては,旭川観光協会が第3種の旅行業の登録を行ったことです(7月29日に登録済み)。この資格の取得により,上記にもありますように,多様化する旅行ニーズに対応するための着地である旭川発のオリジナル旅行プランが,観光協会で発売することができるようになりました。ちなみに,旅行業の資格の取得については,様々な制約が多く,中でも旅行取扱主任の資格を有していなければならなく,旭川観光協会では今年度から大手旅行代理店から職員派遣を実施したことから実現したもので,北海道内でこの資格を有している観光協会は,旭川のほかは富良野しかありません。他の地域では,旅行プランを立てることはできても,旅行業の資格がないことから販売することができなく,実質的な観光振興につながりづらいが,旭川はそれを販売することができることから,観光振興に直接つながっていく優位性を持っております。
このことにより,旭川市が有する豊富な地域資源を活用したオリジナルの旅行プランが販売されることとなります。様々な産業観光,例えば木工関係産業や農業,芸術,文化,医療などと連携をした商品や,体験型修学旅行,独自のプランでの企業セミナーやインセンティヴツアーの誘致など,幅広い要望に応えることができます。