『最近のタイのはなし』

 

平成25年1月末に、仕事の関係でシンガポールとタイに行ってまいりました。

これまで、仕事で同地を訪問したのは、シンガポールが4回、タイ(バンコク)が2回でありました。

シンガポールは、都市整備も非常に進んでいる国で、前回訪問した時と比較し、カジノ(マリーナ・ベイ・サンズ)が新たな名所として誕生するとともに、国家プロジェクトで行われているF1シンガポールグランプリなど、ますます東南アジア中心の都市として栄華を見せております。

一方、タイ・バンコクは、入国前にタイ政府から非常事態宣言が発令されるなど、デモが激しいとの報道が日本でもあったところでありますが、実際に行ってみますと、報道ほどの激しさはなかった印象でした。

ただ、大きな交差点付近数カ所でデモが行われているため、通常時でも渋滞が激しい街に輪をかけて渋滞がひどく、バスでの移動に苦労をしました。

タイにおいては、現在、都市整備の一環で交通体系整備を行っており、BTSというモノレールやMRTAという地下鉄の整備が進んでおります。

これらの全面開業により、渋滞緩和が図られるものと思われます。

タイは、近年、日本などの投資も進んでおり、急速に経済成長を遂げておりますが、大きな不安材料が1つあります。

報道されている政情不安やデモではなく、むしろ国王に関することで、現在、タイの国王はラマ9世でありますが、その人柄と高い見識から国民の人気が非常に高く、立憲君主制を敷きながら、これまでも政治的な危機にあたって、しばしば直接的、または間接的な介入を行うなど、影響力が強いことを証明してきました。

現在、世界で最も在位期間の長い国王であり、タイ史上においても稀にみる長い期間王位に就いているラマ9世も、今年で87歳を迎えることもあり、近年では健康状態も不安視されております。

ラマ9世に万が一のことがあれば、タイ国民に愛され続けてきた反面、葬儀や追悼などで長期間、経済活動が完全に休止することが予想され、タイ国内はもとより投資を行っている日本においても深刻な打撃が生じることでしょう。