『ETCと豚インフルエンザのはなし』

 ETCとは,エレクトロニック・トール・コレクション・システム(Electronic Toll Collection System)の頭文字を取ったもので,簡単に言うと高速道路におけるノンストップ自動料金支払いシステムです。今年の春から,国が経済対策の一環として,ETC装着の一般車両については,土日祝日料金の上限が2年間限定で1,000円となりました。これを受けて,ETCの装着する自動車が大幅に増加し,ETC自体が品薄となっており,ゴールデンウィークなどもETCメーカーは増産体制を組むなど,ちょっとした社会現象となっております。

 今回のETC割引については,観光業界には非常に追い風となっており,今回のゴールデンウィークの旭山動物園の入園者数の例を見てみましょう。

 今年のゴールデンウィークは,5月2日から6日までの5連休となっておりましたが,旭山動物園の昨年の同期間との入園者数の比較は,昨年より16,161名増の94,160(20.7%増)となっております。この中で,自動車利用と思われる一般入場券購入者(市民を除く)17.1%増の43,532名となり,昨年を大きく上回っており,正にETC効果と言えるのではないでしょうか。

 ただ,このETC効果については,このような良い効果をもたらす反面,同じ観光業界への波及としてマイナスの部分も持っております。旭川市は,もちろん道外からの観光客も多いのですが,道内,特に札幌圏からの観光客も非常に多く,今回のETCの割引により,札幌圏の観光客が高速道路を利用して旭川市に容易に来ることができますが,便利になったことにより,旭川に宿泊(滞在)の妨げとなってしまうことです。

 ETC効果により,逆に旅行形態を変えてしまっているのが現状です・・・。

 さて,最近の大きな話題として,豚インフルエンザがあります。世界的な流行となり,我が国においても懸命の水際対策にも関わらず,現在のようなグローバル社会では防ぎきれず,発生が確認されてしまいました。

 この豚インフルエンザですが,現在までの情報を簡単にまとめると,感染力が強いものの毒性は低いとのことです。ワクチンがないことから予防ができことが従来型のインフルエンザと異なり問題であるものの,感染した場合の治療については,従来型のインフルエンザ用の薬を投薬することで問題がないとのことです。

 さて,この豚インフルエンザについても,観光に大きな影響を及ぼしております。発生地域への旅行取り止めはもとより,全国各地の教育委員会が修学旅行の取り止めや自粛を促しております。実際,旭川市内のホテルにおいても,これから本格化する修学旅行シーズンにおいて,キャンセルが続出しており,大きな打撃を被っております。

 経済不況が続く日本や地域経済において,豚インフルエンザに憂慮しております・・・。